少ない商品を縦に積むか、大量の商品を横に積むか
- 商品は縦に積むべきか、横に積むべきか
- コンビニは、商品数を増やした方が売上が上がる?
- 飲食店は商品数を絞るべき?
- 商品を仕入れすぎると、黒字倒産してしまうこともある
- 在庫は需要より多く抱えるべきなのか
- 赤字の店は、いくらを目安に仕入れをするべき?
読むポッドキャスト 第99回「西村豪庸の『社長工場』」
ナレーターやまだひさし
「西村豪庸(にしむらひでのぶ)の『社長工場』」!!
こんにちは、やまだひさしです!
ポッドキャスト番組、西村豪庸の社長工場では、インスタイルグループの代表を務める経営コンサルタントの西村豪庸さんが、ビジネス、経営に関することを独自の視点で解説していきます。
西村さん本日もよろしくお願いします。
工場長西村豪庸
お願いします。
ナレーターやまだひさし
本日のテーマは「商品数は増やすべきか、減らすべきか」です。
地球上でもっとも豊富な品揃えを誇るAmazonの、にっこり笑って見えるロゴマークには「AからZまでさまざまな商品が買えるよ」なんていう意味が込められているんだそうです。
工場長西村豪庸
Amazon創業者でCEOのジェフ・ベゾスは、離婚した奥さんに慰謝料をだいぶ取られちゃったんですよね。
ナレーターやまだひさし
僕、全然この人のことを知らないんですが、奥さんに取られちゃったんですか?
じゃあ、今はにっこり笑っていないのかも知れないですね。
工場長西村豪庸
ジェフ・ベゾスさんは、離婚で4兆円の株式を分与して、妻は世界3位の女性富豪になったんですよ。
ナレーターやまだひさし
ジェフ・ベゾスは、フォーブスの発表する富豪ランキングで、長く首位に君臨していたマイクロソフトのビルゲイツを抜いて、2年連続で首位になってたんですよ。
今やもうビジネスをやるんじゃなくて、金持ちの創業者の嫁を狙った方が早くないですか?笑
工場長西村豪庸
まあ、共同で作った資産だから、仕方ないですよね。
商品は縦に積むべきか、横に積むべきか
ナレーターやまだひさし
広告など目に向けても「圧倒的な品揃え」「国内最大級の品揃え」みたいな言い方をするお店があるじゃないですか。
今日は、ヒデちゃんに「経営者は自社の商品を豊富に取り揃えるべきなのか、少ない商品で勝負するべきなのか」を聞いていきたいと思います。
小売の世界では「在庫を縦に積むべきか、横に積むべきか」なんていう議論があるんですよ。
工場長西村豪庸
「広く浅く」にするか「狭く深く」にするか、みたいな話ですよね。
ナレーターやまだひさし
そうです。
限られた予算で商品数を絞って、少ない種類の商品を10個ずつ縦に積むか、商品数をすごく多くする代わりに1種類につき2〜3個ずつ横に積むか。
広い要望に答えるとしたら、当然広い売り場面積やスタッフ数も必要ですし、商品の知識も幅広く必要になってきます。
縦積みだったらその必要がないですし、在庫も裏に置いといたっていいわけですよ。
工場長西村豪庸
これは永遠の課題の一つなんですけど、以前
「広告費ゼロを目指すべきですか?」
という質問に対して
「できなれるもんなら、やってみなはれ」
と答えましたけど、商品数もそれと一緒で
「減らせるものなら、減らしなはれ」
って話なんですよ。
僕は広告をかけるとき、いろんなところに広告を出して、ダメな広告は切って良い広告だけ残して、効果を良くしていくっていう話をしたじゃないですか。
これとまったく同じで、どの商品が売れるか分かんないから、とりあえず横に広げて並べて、売れたものに関してはガーッと縦積みできるのが理想ですよね。
それを、最初から一発で当てられたら大層なことなんですけど、代表的な例えでいうとタピオカですね。
ナレーターやまだひさし
確かに、単品商材でブレイクしましたもんね。
工場長西村豪庸
そもそも今は、インスタを代表として "単品商材、単一キーワード、単一コンテンツの時代" なんですけど、昔は "総合居酒屋、ダイニングバー、百貨店の時代" だったんですよね。
ナレーターやまだひさし
「基本的に何でも、広く浅くあるよ」みたいな感じですね。
工場長西村豪庸
何でもあるのが価値だったんだけど、インターネットに勝てなくなって、ずいぶん前ですけど "キュレーションの時代" って言われるようになったわけです。
もともとはインターネットも、リアル店舗と同じような陳列の仕方をしていたんですが、なぜそうなったのかを順を追って説明すると、インターネットはリアルの場と違って、場所の制限がないから無限に置けるんですよ。
だから、1個、2個しか売れなくても「とりあえず置いとけ」となるわけで、これがロングテール理論の最初ですよね。
「別に置いておくコストなんて一緒だから、置いといて1個売れたらラッキーじゃん」っていうのが、最初の方に出たインターネットの売りで、今でもある意味この理屈が正しい部分もあります。
その後いろんな理屈が世を席巻するわけですけど、結局インターネットの世界でもリアルワールドでも、一等地とか良い棚っていうのは、いまだにあるんですよね。
例えば、ホームページの中ではファーストインプレッションが一等地だし、インターネットの黎明期では、SEOでトップを取ることが一等地だったわけです。
ナレーターやまだひさし
ドメインが古い方が良いとか、あったね。
工場長西村豪庸
そうやってネットの一等地を取ってきたわけで、まずはランキング文化だったので、例えば自社のサイトでものを売るときも、売り上げ1位はこれ、2位はこれ、3位は…と出ていたんです。
ナレーターやまだひさし
出てた出てた。 どうしてもそれを買っちゃうのよ。
工場長西村豪庸
次に検索文化になって、検索窓がついたんです。
最初はランキングのトップを売ることが大事だったんですけど、商品数が増えてきて、今度は自社サイトの中ですら自由検索してもらう時代になったんです。
次に、今度はレコメンドエンジンを搭載して
「これを買ってる人は、これも買ってますよ」
「あなたにはこれがオススメ」
とかいう、キュレーションとかレコメンドの文化になったわけです。
で、今は何かって言ったら、インフルエンサーマーケティングの時代です。
インフルエンサーがポストした投稿から直接飛んでくるから、そのまま直接来るんですよ。
ランキング文化が終わって、検索文化が終わって、キュレーションだとかレコメンドの文化が終わって、今はインフルエンサーマーケティングの時代だから、例えばタピオカみたいに見えやすいものとか、分かりやすいものが流行るんです。
ナレーターやまだひさし
一点突破で行ける、道筋ができちゃったんですね。
工場長西村豪庸
今はインフルエンサー文化にいます。
もちろん、今言ったレコメンドエンジンやキュレーションなども消えたわけじゃないですし、有効な手段の一手段ではあるけど、メインストリームではなくなったんです。
ナレーターやまだひさし
今はメインがインフルエンサー文化だからこそ、さっき言ったように縦積みがダイレクトにヒットするんですね。
工場長西村豪庸
だから、昔は「何でもあるよ」っていう状態にして、とりあえず来てもらったら、売り上げ1位、2位、3位のどれかしらはとりあえず売れたんですが、今はタピオカを売ろうと思ったら、タピオカをフルパワーでインフルエンサーにバラまければ「縦積みしといて良かったね」ってなる時代なんです。
とはいえ、今も昔も何が当たるかは分からないので、まずは横に積むべきです。
まずは横に広げて、当たったものを縦に積んでいくから、リードタイムとかが重要になってくるんですよね。
「いかに小ロットで、高回転で作れるか」が重要で、国内なら「すいません、この商品を急いで縦に積んでください」って言えば、1週間で何とかなるので、輸入から国内生産に切り替えているところも多いんです。
ナレーターやまだひさし
確かに、そのスピード感にちゃんと適応できるかが重要だもんね。
工場長西村豪庸
だから、最初はどれが売れるかわからないから、残念ながら横に広くしなきゃいけなくて、当たったものに関しては縦に積んでいかなきゃいけないというのが答えの一つです。
Amazonのフォースターってまさにそれで、最初に置いておいても大丈夫な場所を食わない、インターネットで当たるものを見極めて、当たったものだけをリアル店舗に陳列してるじゃないですか。
全部揃えてマーケットの反応を見て、反応が良いものだけを厳選してリアル店舗に置いてるんで、それがAmazonのすごいところですよね。
ナレーターやまだひさし
すごい仕組みですね。
それは元嫁に4兆円払えるわ 笑
工場長西村豪庸
各色、各サイズ1点とか2点とか、やれる範囲の最小ロットでECに商品を並べてプロモーションをかけて、当たったものに関しては縦積みをして、リアル店舗にも落としていくことができれば、理想ですよね。
ナレーターやまだひさし
データもそこで自然に取れてるし、それをリアル店舗でやったら、最初に結構なコストがかかってしまうしね。
工場長西村豪庸
「縦積みしたのがナタデココで、ド外しした」みたいなかんじですね 笑
ナレーターやまだひさし
でも、これがバチッと当たったときには、タピオカのときのような現象が、まだまだあり得ますね。
コンビニは、商品数を増やした方が売上が上がる?
ナレーターやまだひさし
コンビニなんかは、何でも揃ってる便利なお店っていうのが売りだと思うんですが、ああいった業態もやっぱり横に積んで商品数を増やした方がいいんですか?
工場長西村豪庸
そもそもコンビニって、ビッグデータの集約されているところなんですよ。
面倒くさがってるバイトは、全部右下の50代男性を押してますけど、POSレジでお客さんの年齢のボタンを押すじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
本当はあれ、ちゃんと打たなきゃいけないんですよね。
工場長西村豪庸
それも含めて、50代男性ばかり押してると弾かれるようになってるんですけどね。
ナレーターやまだひさし
さすが 笑
工場長西村豪庸
コンビニには「近くに小学校があって、運動会があるとオニギリが出る」とか、ものすごく細かいデータが蓄積されているんです。
何何が言いたいかというと、実はコンビニって狭くて限られたスペースに、いかに売り上げを取れるものを置くかが重要だから、横に並んでいるような印象だけど、絞って効果的な棚をつくっているんですよ。
だからコンビニの飲料の棚って、ビバレッジメーカー、ドリンクメーカーの主戦場だし、1〜2週間で新商品が出てきて、前の商品は消えるんですよね。
ナレーターやまだひさし
コンビニこそ、ビッグデータの集約場なんだ。
工場長西村豪庸
そうです。
例えばセブンイレブンって、ボタン電池があるじゃないですか?
あれは、必ず全部の店舗で置いてるんですよ。
ナレーターやまだひさし
2032Aでしょ 笑
工場長西村豪庸
2032から2012、3052まで全部あるんですよ。
ボタン電池って大したスペースじゃないけど、冷静に考えたらまあまあなスペースを取っているんです。
あれはセブンイレブンの最初からの戦略で
「セブンイレブンへ行ったら、電池があるでしょ」
と刷り込ませておくと、いざ必要になったときに
「セブンならある!」
となるわけです。
ナレーターやまだひさし
うわ、怖い怖い。
まさに、その通りに動いている。
確かに「セブンだったら売ってる、大丈夫だよ」って人にも言うしね。
工場長西村豪庸
今あっさり2032って、4桁が出てきましたからね 笑
ナレーターやまだひさし
よくなくすし、急な場面で使う電池だったりするんだけど、スーパーにはなかったりするじゃない。
品揃えも、ちゃんと計算し尽くされているんですね。
工場長西村豪庸
単位面積当たりの売り上げを最大化しつつ、いかに対流させつつ、いかに滞在させつつ…っていうのを考えて、いかに絞っていかに効率的にするかなんです。
飲食店は商品数を絞るべき?
ナレーターやまだひさし
例えば、ラーメン屋さんをやるときに味噌、塩、醤油、とんこつ、家系…いろいろあるんと思うんですけど、やはり飲食店の場合も、メニューはできる限り一つに絞った方がいいんですか?
工場長西村豪庸
結局「何でもあるラーメン屋さんって、映えないよね」で終わっちゃうんで、今で言ったら絞った方が当てやすいですよね。
ナレーターやまだひさし
確かに「味噌ラーメンだけで、こんなに大行列!」とかの方が、興味が湧きますもんね。
でも、例えばとんこつラーメン屋さんで「えっ、ここ醤油ラーメンないの?」とか言われて、増やし始めたら大変だと思うんですが、そういったお客様の声は、どうしたらいいですか?
工場長西村豪庸
そのお客様の声が、ありがたい氷山の一角なのかまぎれ誤差なのか、永遠の課題その2ですね。
夏に「冷やし中華ないの?」って言ってくるお客さんの声って、十中八九「ありがたいお客さまの氷山の一角」なんですよね。
全員が言うわけじゃないけど、言ってくれるお客さんが一定量いて、それは言うことを聞いておいた方がいい場合も多いじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
その商品があれば、来るからね。
工場長西村豪庸
僕は、割とリクエストにお応えするタイプなんですよ。
バーテンダーのときも
「俺、〇〇って酒好きなんだけど、置いてあるかな?」
って言われたら
「すいません、次までに用意しておきます」
っていうのが基本のスタンスなんです。
ナレーターやまだひさし
お客さん側からしたら、それは嬉しいね。
工場長西村豪庸
だけど、それが例えば10万円の酒で、1杯飲んで二度と来ないとか、全然あるじゃないですか。
ラーメン屋だったら、とんこつラーメンしかやってないのに
「醤油ラーメンはないの?」
って言われて、本当に周辺に醤油ラーメンの店がなくて、とんこつラーメンの店は死ぬほどあるから、醤油ラーメンの方がいいのか、ありがたいお客様のお声で奇跡の氷山の一角なのか、まぎれ誤差なのか。
それは、ちゃんと顧客の立場に立って、カスタマージャーニーを組み立てて見極めるしか無いですよね。
ナレーターやまだひさし
いやあ難しい。
例えば
「えっ、ここタバコ吸えないの?」
っていう喫煙者の声と
「この店タバコ吸えるの?」
っていう嫌煙者の声を、どう見極めるかってことだよね。
工場長西村豪庸
お店としてもお客としても譲れない一線で、どこまでをこだわりとして打ち出すか、どこまで柔軟に顧客の声を受け入れるかっていうのは、正解がないし。
とみ田でも、最初の1年目に
「日曜日に開いている良いお店がないから、日曜日が開いてくれていると助かるな」
って言われて日曜日を営業日にしてたけど、言ってるやつの8割は来なかったっていう話をしたじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
聞いた聞いた!
あれは何だったんですか?笑
工場長西村豪庸
2年目からは日曜日を休みにしたんだけど、大正解だったと今でも思っています 笑
ナレーターやまだひさし
もしも、まだ意地を張って日曜営業を続けていたら、エライ目にあってたね。
工場長西村豪庸
「日曜日に開いててくれてると、助かるよね」
って言ってた社長たちは、来ないんですよ 笑
でも、お客さんってそういうところがあって、アパレルの社長とインスタの反応とか見てて
「超かわいい」
「めっちゃ欲しい」
って言ってる、インスタのポストとかを結構見るんですけど
「じゃあ、買えよな」
って思うんですよ 笑
ナレーターやまだひさし
「買ってねえな、オイ」と 笑
工場長西村豪庸
ありがたいんだけど、いいねしか増えないみたいな 笑
ナレーターやまだひさし
購買までには至らないんだね 笑
でも、これもトライアンドエラーの繰り返しだろうしね。
商品を仕入れすぎると、黒字倒産してしまうこともある
ナレーターやまだひさし
例えば小売店なら、在庫が豊富にあればその分売れるチャンスは増えるので、売上を上げたい販売員としては、どうしても品揃えを良くしたいわけですよ。
でも経営者側からしたら、100万円の売上を上げるのに200万円仕入れられたら、売上が上がっても赤字も膨らむから、たまんないじゃないですか。
売り上げに対して、いくらぐらい仕入れて、在庫高をいくらにキープしておくべきか、目安ってあるんですか?
工場長西村豪庸
月商の1.5か月分とか2か月分を目安にするとか、基本的な会計の目安はあるんだけど、そもそもこの話は「キャッシュフロー上の赤字と実際の赤字が違う」というところに罠があるんです。
100万円の売上を上げるために200万円分仕入れられても、実は赤字は膨らまないんですよ。
キャッシュフロー上は赤字なんですけど、200万円という現金が200万円っていう在庫に変わっただけだから、会計上では赤字じゃないんです。
楽天とかの通販サイトのトップ10ってかなりの売上だと思うんですけど、そのトップ10のお店が10年間存続してる例って1割とか2割くらいで、8店舗くらいは倒産しているんですよ。
なぜなら、会計上は黒字だけどキャッシュは出て行っちゃってて、黒字だから税金は払わなきゃいけないのに、キャッシュがないから税金は払えなくなっているんです。
ナレーターやまだひさし
もし、その在庫が売れ残った場合、潰れるケースがあるんですね。
おお、怖い 笑
工場長西村豪庸
だからアパレルにしろ小売にしろ、管理会計がちゃんとできないと会社を潰すんです。
ナレーターやまだひさし
一見、黒字になってると思っちゃうからね。
「俺の会社さぁ、今日も楽天で1位なんだよ」
ってなっちゃうから、たぶんバカな社長は飲みに行っちゃってるよ 笑
縦積みの在庫がずっと残って、もう手遅れになってるんでしょう?
工場長西村豪庸
そうなんです。
でも、ほとんどの会社は売上を上げるために、とりあえず縦にも横にも積んで、それでもPL(損益計算書)は毀損(きそん)しないから黒字は出ていて、あるときお金が借りられなったりキャッシュフローが回らなくなって、パツッと死ぬんですよ。
ナレーターやまだひさし
で、モノだけ残っちゃうんですね。
工場長西村豪庸
それは、いわゆる "腐った在庫" と言われる、旬を外した在庫だから、簿価にもならないわけです。
ナレーターやまだひさし
月商の1.5ヶ月分っていうものは、あくまでキャッシュがちゃんとある前提の話なんですね。
工場長西村豪庸
キャッシュフローがちゃんと回っていて「旬な在庫しかないんだよね」っていう状態で考えなきゃいけないんです。
だから、1億円の現金を1億円の在庫に代えても、キャッシュは出て行くけど赤字は増えないんですよ。
ナレーターやまだひさし
赤字とは言わないんだね。
工場長西村豪庸
100万円の売上が上がったら30万円の利益が出て、30万円の黒字になるんです。
その場合、手元の1億円のキャッシュは、1億円の不良在庫になるんだけどね。
ナレーターやまだひさし
さらに「税金払え!」って言われるんだよね 笑
工場長西村豪庸
「やまだ君、12万円税金ちょうだい」って言われるんです。
でもそのときには、手元に1億円分の在庫はあるけどキャッシュはない。
ナレーターやまだひさし
税務所に在庫を持っていっても「メルカリで売りなさい」とか言われてもう終わりですね 笑
在庫は需要より多く抱えるべきなのか
工場長西村豪庸
たまごっちとかも、工場を作って拡大した瞬間に、潰れてたじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
「これは売れるな」と思って、一気に増産体制になったときには、もうブームが終わってたみたいなね。
工場長西村豪庸
だから「需要より1台少なく作れ」っていうフェラーリは、本当に上手だと思うんですよね。
ナレーターやまだひさし
金持ちでもすげぇ待たされるし、すぐには買えないもんね。
工場長西村豪庸
だって、ポルシェが年間60万台とか70万台とか80万台とか作るのに、フェラーリは同じ台数を70年間かけて作ってますからね。
ナレーターやまだひさし
でも、いまだに会社は潰れてないんですよね。
工場長西村豪庸
だから、飢餓マーケティングが上手ですよね。
適度にお腹を空かせとくことって、なかなかできないですけど大事ですよね。
ナレーターやまだひさし
それにお金持ちは、カネで買えないものに価値を見出すんで「だったら他の車を買う」ってならず、平気で待つんですよね。
工場長西村豪庸
「これ、なかなか買えないフェラーリなんだ」とか言い出すんですよ。
ナレーターやまだひさし
「限定〇〇車の1個なんだよ」
「よく買えましたね!」
って、これがまたステータスになっていくんですよね。
工場長西村豪庸
そうですね。
だから、この縦積み横積みっていう問題は、永遠の課題ですよね。
赤字の店は、いくらを目安に仕入れをするべき?
ナレーターやまだひさし
毎月500万円を売らないと赤字になってしまうお店があったとして、毎月300万円しか売れてない場合は、どっちの売上を基準に仕入れをすればいいんですか?
工場長西村豪庸
さっき言っていた月商何ヶ月分みたいな目安が、通用したりしなかったりするのはこれが理由なんですけど…
例えば原価率が50%だとしたら、売上500万円で250万円の粗利がないとダメで、今は売上300万円で150万円の粗利しかないんですよね。
結局、100万円分経営が立ち行かない状態になるじゃないですか。
ほとんどの会社は1年間なり半期なり、売上予算を立ててるんですけど、300万円しか売れてないときに、「500万円を売るために、250万円仕入れろ!」って言われても困っちゃうじゃないですか。
今、300万円しか売れてないのに、いきなり500万円売れるようにはならないから、まずは10%ずつとか20%ずつとか背伸びした予算を立てるんです。
MAXで20%が限界だと思うんですけど、330万円ないし360万円を売るための予算を立てて、実際に330万円を売るつもりで、背伸びした予算の分を仕入れて
「無事に半分の165万円の粗利が得られたら、次は360万円分仕入れましょうね」
って成長させていくのが正しいのであって、500万円売らなきゃいけないからっていきなり250万円分仕入れてたら、しくじる可能性も高いし、しくじったときに目も当てらなくなるので、最初はゆっくり成長させていくしかないんです。
武蔵野の小山昇さんの本に
「企業は、年間124%以上で成長すると潰れる」
って書いてあったりするのは、こういう黒字倒産の可能性があったりするからなんですよね。
別に、管理会計がちゃんとしていれば、124%以上で成長していたって全然潰れなかったりするんですよ。
ナレーターやまだひさし
だけど、管理会計をちょっと間違ってしまうと、潰れちゃうんですね。
工場長西村豪庸
500万円、600万円と売るつもりで、ドンドン予算をかけて実際に売れたとしても、黒字倒産したら話にならないですからね。
10%とか20%とか、少しずつストレッチをかけていって、それが本当に実現できているかが重要なんです。
本当に在庫がないっていう理由だけで300万円しか売れてないんだったら、いきなり仕入れたってちゃんと売れるだろうけど
「お金がないだけなんです!」
っていう会社とか人って、必ずお金以外の何かが足りないんですよ。
本当にお金がないだけで、お金以外のものは全部揃っている会社には、ちゃんとお金は集まってくるので
「在庫がないから、売り上げが出せないんです!」
って言ってる会社は、必ず在庫以外の何かが足りないんです。
だから、10%でも20%でもいいから、ストレッチさせてみるんです。
ナレーターやまだひさし
そうやって、足りないものを探し出すんですね。
工場長西村豪庸
要は「330万円の売り上げが取れたな」って確認できたら、170万円、200万円…って仕入れて、本当に400万円売れるのか500万円売れるのか、ゆっくり試していくんです。
だから
「500万円売らなきゃ赤字になってしまう店で、毎月300万円しか売れてない場合、どっちの売り上げを基準に仕入れをすればいいですか?」
って聞かれても、どっちでもないんですよ。
だって将来は500万円売らないとダメなんだし、300万円の売り上げを基準に仕入れだけしてても、キャッシュフローは回らないんだから、回るようにするのが一番最初ですよ。
ナレーターやまだひさし
現状、回ってないんですもんね。
工場長西村豪庸
どうしても500万円売らなきゃいけないんだったら、500万円を売るために330万円分仕入れをして、360万円、390万円、420万円…と上げていくのがセオリーなんです。
500万円を売るために500万円分仕入れをしたって、上手くいかないんですよ。
ナレーターやまだひさし
いい勉強になった。
僕の仕事なんて仕入れないのに、社長工場を聞いてたら自分を試したくて、なんか仕入れたくなってきますからね 笑
工場長西村豪庸
話のネタを仕入れに、銀座に行ってるんですよね。
ナレーターやまだひさし
そうそう、だからだいぶキャッシュは出てってますけど、まだ回収できません 笑
工場長西村豪庸
ぼちぼち、500万円売らなきゃいけない基準の仕入れをしてますよ?笑
ナレーターやまだひさし
今、脳みそに縦積みになっています。
でも、仕入れをして結果を出すっていうのは、上手くいったときは面白いですよね。
皆さんも、トライしてみたらどうでしょうか?
工場長西村豪庸
今ならやまだひさしが、銀座で山崎ハイボール1杯で、相談に乗ります。
ぜひ羽振りの良い社長さんは、ボトルを入れてあげてください。
次に行ったときに、その半分がやまださんに飲まれているかも知れないけど。
ナレーターやまだひさし
300万円のボトルは、150万円まで飲んでいいんですよね?笑
工場長西村豪庸
そうですね 笑
工場長西村豪庸
ありがとうございました。