セールスとマーケティングの違い
読むポッドキャスト 第76回「西村豪庸の『社長工場』」
- 酒屋の二代目社長からの質問
- 二代目社長の戦術
- とあるお寿司屋さんの戦略と戦術の話
- 町の電気屋さんの戦略
- セールスとマーケティングの違い
- 酒屋の二代目社長がやるべき戦略
- マーケットのルールが変わったら、自分も変わらないといけない
- 卸酒屋は斜陽産業なのか?
ナレーターやまだひさし
「西村豪庸(にしむらひでのぶ)の『社長工場』」!!
こんにちは、やまだひさしです!
ポッドキャスト番組、西村豪庸の社長工場では、インスタイルグループの代表を務める経営コンサルタントの西村豪庸さんが、ビジネス、経営に関することを独自の視点で解説していきます。
西村さんよろしくお願いします。
本日はリスナーの方から質問が届いているので、ご紹介します。
工場長西村豪庸
お願いします。
酒屋の二代目社長からの質問
ナレーターやまだひさし
---(リスナーからの質問)
私は現在、業務用卸の酒屋の二代目として、年商1億5,000万円ほどの会社を営んでおります。
3年前に代替わりをしたのですが、高齢化などにより町の人口は減り続けている中、都内から配送に来る大手業務用酒販店や量販店、近隣のスーパー、ディスカウントショップ、オンラインショップなどのライバル店の増加により、売り上げと収益が減少して資金の余裕もなく、販売価格を値下げするにも限界があり、どうしたらいいか分からず不安の毎日でした。
私は今40代後半で、10年以内に会社経営の基礎を築きたいと考えていたところ、社長工場のポッドキャストを知り、工場長のお話を聞くうちに経営の仕方や考え方に共感いたしました。
これからは現在の状況を打破し、売り上げを上げるために経営について1から学び、新たなビジネスモデルを考えていきたいと思っています。
どうすればお客様に喜ばれ、ベネフィットとしてお酒を買っていただけるのか。
また、どのような新規事業を始めればいいのか。
IT技術の活用方法や、インターネットによる販路拡大、売り上げを上げるためのヒントやアイデアなどがあれば、アドバイスお願いします。
---
ということで、今考えてるアイデアもいっぱい書いてあるんです。
・隣の酒屋でお酒を買ってもらって、持ち込みOKとしてみるのはどうか?
・倉庫をリフォームして、角打ちとして営業する
・酒屋で販売しているお酒の試飲も兼ねた、ショット売りもしてみたらどうか?
・近所のおばあちゃんや主婦の方々から手料理を買い取って、つまみとして小皿で安く販売したらどうか?
など、長文に渡って切実な相談が来ております。
こういった悩みの社長さんは、全国にいらっしゃるんじゃないかと思いますが、前に「斜陽産業社長の戦い方」っていう回で、ハンコ屋さんの例を言ったと思うんですよね。
工場長西村豪庸
はい。
ナレーターやまだひさし
酒販業界っていうのは、全体的な飲酒率も下がってレッドオーシャンなだけで、お酒の需要そのものがなくなってるわけではないじゃないですか。
この方のように「地方の個人経営規模の酒屋でも、業態を変えずに戦っていけるのか?」っていうことと「いっそ早く違う業態にピボットした方がいいのか?」「売上の良かった先代の時代とは、明らかに前提条件が変わってると思うので、酒屋として続けて良いものか?」など、相談したいと思います。
工場長西村豪庸
卸で1億5,000万円売ってるって、昔言った平均値ですよね。
今は卸の平均は6億円くらいなんで、卸業界からすると4分の1なんですけど、中小企業の平均年商くらいです。
ナレーターやまだひさし
でも、このまま続けていったら、やっぱり不安だと。
もしこの相談を引き受けるとしたら、どんなアドバイスができますか?
工場長西村豪庸
この人は、自分がどこでどう戦ってるか、分かってるようで分かってないですね。
ナレーターやまだひさし
結構アイデアもくれましたけど、そうなんですか?
工場長西村豪庸
ちょっと、メチャクチャですもんね。
ナレーターやまだひさし
40代後半で「今後10年以内に、会社経営の基礎を築きたい」っていうんですから、これは間に合うもんですか?
工場長西村豪庸
間に合わないですね。
こんなの、半年か1年でやらないとダメですね。
ナレーターやまだひさし
10年以内とか言ってるんじゃなくて、今から半年ぐらいでそれをやんなきゃダメと。
そういうスピード感を求めてるわけですね。
工場長西村豪庸
そうですね。
二代目社長の戦術
ナレーターやまだひさし
例えば、複合的な店に変えていくっていうアイデアはどうですか?
工場長西村豪庸
ビジネスモデルに対する理解が浅いというか…
酒屋でもなんでもいいんですけど、この人は戦術の話ばっかりするんですけど、戦略的な話は一切してないんです。
ナレーターやまだひさし
戦術は話すが、そのための施策というか方法が…
工場長西村豪庸
「ナイフが使いたい」とか「銃を撃ちたい」とか、方法ばっかり話す。
ナレーターやまだひさし
分かりやすい。
工場長西村豪庸
「どこの誰を攻めるか、どういう考えのもと攻めるか」っていうのが大事なんです。
それで大砲になるかミサイルになるか、銃になるかナイフになるかが変わるんで「ナイフがいいと思うんですよ」とか「銃がいいと思うんですよ」っていうのは、それだけだと分かんないんですね。
ナレーターやまだひさし
誰に向けて、何がしたいの?ってなると「その銃、意味ないじゃん」っていう場合もあるんですね。
とあるお寿司屋さんの戦略と戦術の話
工場長西村豪庸
例えば「寿司屋は、寿司がフロントエンド商品で、寿司を餌に酒で儲けるビジネスだ」って言ってる人がいるんですよ。
要するに、その考え方が正しいか正しくないかじゃなくて、その考え方やその戦略を元にどうするかって考えたら、酒を高くして寿司を安くするんですよね。
ナレーターやまだひさし
うちはそういう考えだから、そういうふうに価格を変えたいと。
だってそっちで料金を取りたいわけですからね。
工場長西村豪庸
それで酒を安くして、寿司を高くしたら本末転倒じゃないですか。
それが戦略と戦術の話ですよね。
ナレーターやまだひさし
そうか、その先が最初に決まってれば、そういうふうにして「値段が自ずと決まるんだよ」みたいなことですね。
工場長西村豪庸
そうなんですよね。
だから、安くお酒を提供しますとか言ってるのも、
ナレーターやまだひさし
なぜそれをするの? っていうことか。
工場長西村豪庸
隣の酒屋でお酒を買ってもらって、持ち込みOKとするとか、試飲も兼ねたショット売りをするとか「安くお酒を提供します」って言ってるから、薄利多売に向けていくわけですよね?
ってことは、めちゃめちゃ集客するってことですよ?
ナレーターやまだひさし
やろうとしたらもっと大量の人数を集客しないといけないし、集客をしない限り、維持どころか回復は無理ですよね。
工場長西村豪庸
じゃあ、そのコストはどこから出てくるのか? オペレーションコストはどうするのか? とか含めて…
ナレーターやまだひさし
「単に安くしたからって、お客さんが大量に来るってことじゃないと思いますよ」ってことですよね。
工場長西村豪庸
小口にしたから来るのか、安くしたら来るのか。
ナレーターやまだひさし
元々それが見えてるのであれば、この施策はありかもしれないが。
近所のおばあちゃんや主婦から手料理を買い取って、つまみとして小皿で安く販売するって言うけど、果たしてそれを待ってるお客さんがいるのか? ってことですね。
工場長西村豪庸
どうやったらお酒を買ってくれますか? みたいに考えてるんですけど、どこにお酒を買いたい人がいるかを考えてないんですよね。
ナレーターやまだひさし
量販店やネット販売だったりが増えてるのは、今の時代のニーズに合った、周りの人の動きがそうなってるわけですよね。
配達してくれるから頼んでるとか、違うサービスをこの酒屋さんも提供していかない限りは、また客を引っ張ってくることはできないと。
工場長西村豪庸
ダメでしょうね。
戦略がないから「銃が効くらしい、ナイフが効くらしい」「あれが効くらしい、これが効くらしい」って、テキトーにどっかで聞いてきたようなのしか言ってないけど、それは全然関係なくて。
ナレーターやまだひさし
もしかしたら、この番組を聞いてるから「いっそのこと、うちの酒屋はサブスクにしたらいいんじゃないでしょうか?」みたいなことを、言ってきかねないってことですよね。
工場長西村豪庸
そうです。
ナレーターやまだひさし
それをやって、果たして会費を取れる? っていうことですよね。
町の電気屋さんの戦略
工場長西村豪庸
パナソニックの代理店っていうか、町の電気屋さんがあるじゃないですか。
あれも利益をどこで取るかっていうのが、いくつか決まってて。
テレビを売ることだけに集中してる店舗もあれば、テレビがバックエンドで、利益を取るための商品ですっていうところもある。
テレビを買ってもらうためには、電球交換を無料でしますよっていう代理店もあれば、電球交換をちょっと高めにしてもらうために、テレビを安く売りますよっていう店もある。
ナレーターやまだひさし
確かにそうやって、地域と密着してるビジネスがいっぱいあったね。
工場長西村豪庸
地域密着でも、今はテレビだって売れないじゃないですか。
でも、どういうふうにしてるのかとか、何で知ってもらって何で喜んでもらって、何に喜んでお金を落としてもらうかっていうのが、戦略的に導線を引けてないですよね。
ナレーターやまだひさし
僕も昔、そういう近所の電気屋さんで、量販店の電気屋さんより高いんだけど
「なんでそこを選んだの?」
って父親に言ったら、それによって年間のエアコン掃除とか、そういったもの全部すぐ来てくれるし、全部分かってるから
「5、6年経ったから、そろそろ買い替えた方がいいよ」
っていう、アドバイスもしてくれたりとか、結果そっちがいいっていう人もいるわけですよね。
工場長西村豪庸
そうです。
ナレーターやまだひさし
決して値段だけの勝負じゃなくたって、サービスの形によっては顧客って保とうと思えば保てるわけですよね。
セールスとマーケティングの違い
工場長西村豪庸
それにこの人は、セールスしようとしてるのか、マーケティングしようとしてるのかも分かんないし。
ナレーターやまだひさし
セールスとマーケティングでは違うわけですね。
工場長西村豪庸
セールスっていうのは、営業を売り込みに行くことで、なんだったら、興味がある人に売るわけじゃないですか。
興味がある人を集めるのが、マーケティング。
だけどこの人は、マーケティングし終わってる体でセールスの方法しか話してない。
ナレーターやまだひさし
そうか。
実際、近隣のお客さんが、どういうふうにして減っていったかっていうことを考えてない。
工場長西村豪庸
そもそも、マーケティングができてない、ポジショニングができてないから、しくじってるんでしょ?
ナレーターやまだひさし
ただ単に、売り上げが下がっただけの数字しか見てないから、どういう人たちが離れてったから、こうなったのかってところが分かってない。
工場長西村豪庸
離れていった人に対してマーケティングができてないのに、セールスの方法を変えてセールスしたって、しょうがないじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
その人たちはもう離れてるわけで、小皿が安く食べれるから戻ってくるかって言ったら…
工場長西村豪庸
そうです。
その人たちは、小皿料理を探してるわけじゃないんで。
ナレーターやまだひさし
きっとこの社長さんは、自分の中ではアイデアもないんですよ。
工場長西村豪庸
ラーメン屋が売れてないときに、券売機に変えようが、関係ない。
その前にやることがあるじゃないですか。
「一口ラーメンを出した方がいいですかね?」「煮卵を出した方がいいですかね?」とか、お客さんが来てないんですよね?
ナレーターやまだひさし
だったらまずは、ってことですよね。
工場長西村豪庸
"それをやることで、お客さんが来ること" と "お客さんが来たときに、満足すること" を、分けて考えなきゃいけないですよね。
ナレーターやまだひさし
結構、これを分けれない人はいるかもしれませんね。
工場長西村豪庸
だから「マーケティングとセールスが、ごっちゃになってますよね」って言ったんです。
ナレーターやまだひさし
来た前提でそんな話ばっかりしてても、今来てないから困ってるんでしょ? と。
工場長西村豪庸
世の中のほとんどの困ってる社長さんって、集客ができてないんですよね。
ナレーターやまだひさし
それに対しての宣伝にも全く意識がないし、店を開けば客が来るって思ってたりする人だと、その典型ですよね。
工場長西村豪庸
なんで、お店を開けただけで、わざわざお客さんが好き好んで、あなたのお店を選んで来てくれると思います?
都合良く考えても、それは量販店でもオンラインショップでもなんでもいいけど。
ナレーターやまだひさし
なるほど、2代目の人にありがちかもしれませんね。
マーケティングを先代がしてくれて、そこに需要があったから店を開けた環境があった頃はそれでいいけど、継いだ人間は分かってないから。
元々、客がいる前提じゃないですか。
勝手に減っていっただけで、そのときに「ん?」って思っても、先代が他界してたりすると、マーケティングを習ってないから、どういうふうにして人を呼んだのかが分からない。
工場長西村豪庸
ちょっといろいろな意味で、理解が浅いかなって言ってるのはそういう意味です。
ナレーターやまだひさし
頑張って、1からそこを勉強しないと、ちょっと戻れないとこがありますね。
酒屋の二代目社長がやるべき戦略
工場長西村豪庸
専用アプリの開発とか、決済方法を簡単に行えるアプリの開発とか、世界で6番目くらいに意味ないじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
多分、そんなアプリを開発できるお金もないし、今することは、多分そこじゃないですもんね 笑
工場長西村豪庸
卸なんでしょ?
とりあえず、片っ端から富山の薬売り商法で、酒を置いてもらうところに、いっぱいポイポイ置いてけばいいじゃないですか。
昼の営業じゃなくて夜中の営業にして、LINE1本で全部届けるようにすりゃいいじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
そうか。
まだ取引先はあるわけだから。
工場長西村豪庸
繁華街の営業先に片っ端から営業かけて、営業中の店にワインから焼酎から全部、どのくらい保証金取るかも含めてあれだけど、とりあえず一店舗ずつ増やしてって。
普通、仕入先の酒屋をスイッチさせることって、まあまあ大変だから、単純に経済的なメリットがないといけないけど、そこで安売り合戦してもしょうがないから、便利になるしかないじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
相手にとって便利になれば
「うちは別にどっちでもいいよ。
そんなに値段も変わらなくて、さらに便利になるならあんたのとこで」
って、なるかもしれない。
工場長西村豪庸
シャンパンが出た瞬間に「出た」って言ったら、30分後に持って来てリストオンできる。
なんだったら、預かってるものが売れた分だけ、払えばいいんだったら。
ナレーターやまだひさし
1回ちょっとざっと渡して。
工場長西村豪庸
「どうすればお酒を買っていただけるのか?」っていう、自分のところから買ってもらえるのか? みたいなのがすごい変だから、富山の薬売り商法でやってみる。
ナレーターやまだひさし
そうか。
完全に、待ちになっちゃってるんだね。
工場長西村豪庸
都合がいいっていうか…
「どうやったら、俺のコーラを買ってもらえますかね?」じゃなくて「どこに喉が乾いてる人がいて、どこに行けばコーラを喜んでくれる人がいるのか」って考えてないから。
ナレーターやまだひさし
すげー分かりやすい!
僕、この間ニューヨークに行って、ブルックリンブリッジを歩いて渡ったんですよ。
夏で暑いし、歩くには距離があるから、橋の下で水を売ってるんです。
水屋でも酒屋でも、なんでもないですよ。
大量に水を安いとこからケースで買って、それでも結構高いんですよ。
「こんなとこで買わねーよ!」と思ったら
「お前いいのか?歩きなんだろ?本当に喉乾くぞ。
橋の上に行ったらもっと高いぞ」
って言うんですよ。
うるせー!と思って、橋の上行ったら本当に喉が乾いて、水を買ったら高いんですよ!
上手いなって思って 笑
喉が渇く人たちがいる場所だから、やっぱり買いますよね?
でも、横の水屋はきっと「うちの水全然売れねーな」って思って、客を待っててもやっぱ買わないですよね。
商魂たくましさみたいなことで言うと、初心に返ってくださいじゃないが、そういう動きも大事ってことですね。
マーケットのルールが変わったら、自分も変わらないといけない
工場長西村豪庸
基本的なことをやってないんですよ。
卸なんでしょ?
だったら、町の小売屋とは全部繋がってるんですか?
ナレーターやまだひさし
多分、繋がってないだろうね。
工場長西村豪庸
小売屋、新規の大工、不動産屋、おしぼり屋、全部繋がってるんですか?
全部繋がってるんだったらいいですよ。
それで、新規出店のときは必ず連絡が来るんですか?
ナレーターやまだひさし
来ないでしょうな。
工場長西村豪庸
その、普通で当たり前ってことに関して、たいていの人はやってないから。
この酒屋さんもやってないんじゃないですか?
ナレーターやまだひさし
特に継いでる側だとしたら、そんなこと見ずにきて。
でも黙っても客が来てたときは、それでいいわけだよね。
当時のお父さんやおじいちゃんの時代は、通販で買えるとか、電話1本でなんとかとか、量販とかないから良かったんだけど。
工場長西村豪庸
当たり前に「あらサブちゃん、お醤油1本お願い」でしょ?
ナレーターやまだひさし
酒って言ったら、酒屋で買うもんなのよって決まってたときは、みんなここに来るけど。
だってもう、ライバルが出てきちゃったんだから対策しなきゃ。
独占権じゃないんだもんね。
工場長西村豪庸
昔の学校の前のお好み焼き屋さんじゃないけど、勝負条件が変わってるんだから。
工場長西村豪庸
マーケットのルールが変わったんでしょ?
どうしても酒屋でやるんだったら、自分も変わんないといけない。
ナレーターやまだひさし
この仕事を続けたいならね。
ヒデちゃんと話す前は、考えてるアイデアってのを読むと「結構この人は頑張って、いろいろアイデアを見つけてきたな」って思ったんだけど、これは後の話でいいんだね。
工場長西村豪庸
B to Bでこんなに苦労してるのに、B to Cでそんなにひょいひょい来るわけないじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
今はその時点じゃないと思うよと。
まずは、平常営業できるところの立て直しを図るのであれば、Cに行くんではなく、元々のB to Bをもう1回自分で拡大する。
工場長西村豪庸
その方が楽ですからね。
地方の酒屋にわざわざ好き好んで、突然小皿料理を食べに来て、隣に酒屋があるのにお酒を一杯ワンショットで飲んでもらって、よく分かんない理屈のお客さんを毎月100人、1000人集めるよりは、普通に自分でちゃんと繁華街に営業に行く。
でも酒屋を変えるって、まあまあ大変じゃないですか。
ナレーターやまだひさし
そうね。
元々の付き合いもあったりして。
工場長西村豪庸
それはただ「うちに変えてください」って言っても変えられないことが多いから、ちゃんと飲みに行って関係値を作る。
でも、アプリを開発する金よりは安いですから。
ナレーターやまだひさし
確かにね。
工場長西村豪庸
ちゃんと開拓して
「うちだったら、今の在庫を全部お預けしてる状態でやれますから。
富山の薬売り商法で、売れた分だけお金払ってくれればいいですから」
ってやった方は、高い酒がパンパン出てくようだったら
「いちいち買ってくれなくていいですから、連絡もらったらすぐ持って来ますから」
っていう営業かけるなり。
アプリの開発とか、そんなことを言ってないで「LINEで注文を受けますよ」とか「LINE Payで払ってくれればいいですよ」でいいんです。
LINEって言ったのは、単純に「今から持ってきてよ」で1番便利で、きっと楽なのがLINEだから、それにしなって言ってるだけで。
ナレーターやまだひさし
別にいちいち作る必要ないじゃんと。
工場長西村豪庸
むしろ電話1本でもいいし、ずっと携帯に出ますでもいいし、ちゃんと泥臭く。
ここでアプリを開発して、デジタルマーケティングして、あれをしてこれをしてっていうので、大手に勝てるわけないんだから。
ナレーターやまだひさし
そうなんだよな。
結局それをやったって、もっとさらに便利なものなんて当然出てくるもんだから。
そうではない、ある意味マンパワーなんだけど、その信用を早く作った方がマシだね。
卸酒屋は斜陽産業なのか?
工場長西村豪庸
キャバクラみたいに、装置産業と言われる豪勢な内装がいるわけでもないから、これだったら自分が行けばいいだけだから。
ナレーターやまだひさし
リフォームしたからって客が増えるとかじゃないから。
工場長西村豪庸
ただ便利に、せっせと酒を持ってけばいいだけだから。
ナレーターやまだひさし
待ってて動かないでいるよりは、そっちの方がよほど見えてくる気はするよね。
動いていけば、自分の酒屋が囲まれてるものの中で、どのビジネスがイケてるとか、どの飲食店で何が起きてるかって分かるわけじゃないですか。
工場長西村豪庸
若い人に来てもらうためや、ブランディングを高めていくために、店内をスターバックスのようにオシャレにして、興味を持ってもらうようにはできないですよ。
だってスターバックスに行くから。
ナレーターやまだひさし
もしそういう店を作って集客ができるようなら、とっくに向かいにスタバが建ってると思うんですよ。
あの人たちはプロだから、土地を見れば分かるじゃないですか。
ここにこういうものがあったら、お客さんがどんどん来てってなったら建てるでしょ。
工場長西村豪庸
そうですね。
ナレーターやまだひさし
ちょっと厳しい意見になったかもしれませんが、二代目なりの悩みってちょっと分かる気がしました。
立ち上げからやってない分、そういった点で時間を埋める。
やっぱり今まで培ってきた関係だったり、お世話になってきたネットワークを、もう1回洗いざらい全部調べてみるっていうのは大事かもしれませんね。
工場長西村豪庸
ちゃんと新規で営業かけてって。
ナレーターやまだひさし
ちょっとでも回復してきたら、そこでもう1回話を聞いてもらうのはどうですかね?
工場長西村豪庸
正しいことやったらね。
ナレーターやまだひさし
このアドバイスを元に原点に返ってもらって。
体力的には、なかなかキツイかもしれないけど、二代目っていうことを考えたら、すごい素敵なものをもらったわけじゃないですか。
だからそこは、ちょっと無理して頑張ってもいいんじゃない? って気がしますよね。
工場長西村豪庸
そうですね。
ナレーターやまだひさし
立ち上げの方が、もっと大変だったんでしょうから。
そこにリスペクトがあるならば、やっぱり継いだ以上なんとか頑張って残してもらえればと思いますよね。
決して斜陽産業ではないですよね?
工場長西村豪庸
斜陽産業ではあるんじゃないですか?笑
やっぱり酒は飲まなくなってるし。
ナレーターやまだひさし
そっか、飲まなくなってるってことを考えると一応斜陽なのか…
工場長西村豪庸
自分が飲むから 笑
ナレーターやまだひさし
僕はもう、バカバカ飲むんで 笑
工場長西村豪庸
分かった!
やまださん家の前に引っ越す!
ナレーターやまだひさし
多分それは「やまだ酒店」になっていくだけだと思う 笑
でも、頑張ってほしいですね。
こうやっていろんな方が聞いてくださってるのありがたいことなので、これからも誰にも言えないような悩みとか、経営での相談がありましたらぜひお寄せください。
今日は売り上げ減少に悩む、酒屋の二代目社長のお話でした。
ありがとうございました。
工場長西村豪庸
ありがとうございました。
工場長西村豪庸
ありがとうございました。