資本金1円と10億円、純資産が多いのはどっち?
読むポッドキャスト 第69回「西村豪庸の『社長工場』」
- 資本金1円で創業するのはアリ?
- そもそも "資本金" とは
- 『AIR RACE JAPAN』の資本金
- よくある素人の勘違い
- 資本金1円と10億円、純資産が多いのはどっち?
- 少ない資本金で会社を始めるメリット
- 小学1年生の粉飾決算
- 昭和世代の見栄っ張り
- 毎年 "増資" をしている会社は要注意?
- 企業が上場するときに、資本金の最低金額は決まっているのか
ナレーターやまだひさし
「西村豪庸(にしむらひでのぶ)の『社長工場』」!!
こんにちは、やまだひさしです!
ポッドキャスト番組、西村豪庸の社長工場では、インスタイルグループの代表を務める経営コンサルタントの西村豪庸さんが、ビジネス、経営に関することを独自の視点で解説していきます。
西村さん本日もよろしくお願いします。
工場長西村豪庸
お願いします。
ナレーターやまだひさし
今日のテーマは「資本金はいくらにするべきか」です。
2006年5月に新会社法が施行されて、これまで株式会社であれば1000万円、有限会社であれば300万円の資本金が必要だったんですが、最低資本金制度というのが撤廃され、今や資本金が1円でも株式会社が設立可能となりました。
僕の時代は1円なんて無理でした。
工場長西村豪庸
僕のときもそうですよ。
僕が会社作ったのは20年前くらいですら。
ナレーターやまだひさし
だから、1000万円を用意して会社作ったわけですね?
工場長西村豪庸
いや、有限会社だったんで300万円かな。
ナレーターやまだひさし
おっ、一緒〜!笑
僕も単純にお金が無かったから、頑張っても有限会社止まりみたいな感じで、300万円を用意した記憶があります。
工場長西村豪庸
あと、株式会社は、取締役3人と監査役1人も必要だから、難しいっすね。
ナレーターやまだひさし
今だとそれが、ゆるくなったというか、要らなくなったというか…
資本金に関しては、1円に設定して設立することが可能になったんですけど、実際の会社設立には、登録免許税だったり、定款認証の手数料、会社の実印の作成費用などもかかるので、
「本当に資本金1円で創業して経営に影響がないのか?」
「資本金の設定が自由っていうけど、いくらに設定するのがいいのか?」
などを、今日は聞いていきたいと思います。
工場長西村豪庸
はい。
資本金1円で創業するのはアリ?
ナレーターやまだひさし
例えば、フリーランスとして家で仕事をしてる人がいますよね。
イラストレーターとか、そういう人たちが個人事業主ではなく、新しく会社を設立するとします。
そうすると、登記は自宅だからオフィスを借りる必要もないし…
工場長西村豪庸
まあ、大家さんにOKか確認した方がいいけどね 笑
ナレーターやまだひさし
確かにそれはありますよね。
電話やパソコンなど、仕事に必要なものはすべて揃ってるってなると、初期投資もかからない。
自宅で仕事をするなら、追加のランニングコストもかからない。
資金がショートした場合は、社長借り入れで補填すれば会社が倒産することもない。
こんな場合であれば、資本金1円で創業するのもアリなんでしょうか?
それとも資本金は、いくらか積んでおいた方が良いんでしょうか?
工場長西村豪庸
この状態だったら、別にいらないんじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
とりあえずはやっていけるし、資本金が1円でもアリなんだ。
工場長西村豪庸
別にいいんじゃないですか?
そもそも "資本金" とは
ナレーターやまだひさし
資本金は誰のためにというか、なんのために入れておくものなんですか?
工場長西村豪庸
資本金って、昔々の話ですからね。
ナレーターやまだひさし
当時で言うと、信用度の尺度みたいなこと?
工場長西村豪庸
あの当時のハードルだし、それこそ東インド貿易会社とかの時代。
株式会社の成り立ちで言ったら、大航海時代に遡るわけですよ 笑
インドに香辛料を取りにいく船を出すのにパトロンが必要だったから「金持ちに金を出してもらいましょう」ってなって、1人100万円を出してもらって、1億円で船が出せる。
それで香辛料を取ってこれたら、山分けで良かったんだけど、最初のころって船が沈んじゃって、死んじゃう人も多かったわけですよ。
ナレーターやまだひさし
なるほど。
工場長西村豪庸
遺族への補償金とか、賠償金とか、慰謝料とか、そういうのもすごいかかってて、それもパトロンが負担してたんです。
それが「やってられっか!」ってなって、船を出す人がいなくなっちゃったんです。
ナレーターやまだひさし
まあそうですよね。
「何の回収もできてねえぞ」と。
工場長西村豪庸
これは良くないってなって、資本金を出した分は返ってこなくてもしょうがないけど「それ以上に責任を負わなくてもいいよね?」っていうのが "有限責任"
これが有限会社の有限の部分です。
ナレーターやまだひさし
つまり僕が作った会社は、300万円までのリスクに対しては保証するが、後はごめんと言える権利の会社。
工場長西村豪庸
だから有限会社、有限責任っていうのも、co.ltd(シーオー、エルティーディー)
リミテッドのリミテッドされている部分は、出資した分までで
「出した分は返ってこなくてもしょうがない」
と言われてる部分のことだから。
ナレーターやまだひさし
だから相手は、その金を見て判断するってのは当然のことだよね?と。
自分が出したお金に対して、資本金を見たときに「この会社はここまで補償する」って言ってる。
工場長西村豪庸
逆に言ったら「1円まではなくなっても文句はない」って言ってるやつなのか「100万円までなくなっても文句はない」って言ってるやつなのか「1億円までは、10億円までは…」と。
ナンボの話ですけどね。
ナレーターやまだひさし
そういう感じなんだ。
工場長西村豪庸
成り立ちから言ったらそういう感じです。
ナレーターやまだひさし
「その人の底を見る」じゃないけど、ある程度それを先に伝えてくれてることで「後は判断してね」と。
工場長西村豪庸
資本金ってのは、あくまで「最初にいくらタネ銭を出して、いくら積んで作ったか」ってだけだから。
今は本当に意味なんかないっすよ。
ナレーターやまだひさし
当時で言うと担保みたいなかたちだったけど、今は無形化しているというか、形骸化しているってことですね。
それが判断にはなってないってことだから、あんまり役立つものではないかもしれないね。
工場長西村豪庸
うちって資本金が少ないとこ多いから、たまに逆があるんですよ。
「資本金なんて、そんなのどうでもいいじゃん」と思ってるけど、古い会社だと「資本金〇〇円でしょう?」とか言ってくるから。
そういうリトマス試験紙に使ってます。
ナレーターやまだひさし
「アンタまだそんなこと言ってるのか?
本質はそこじゃないと思うよ」と 笑
工場長西村豪庸
でも、アパレルとかはデベロッパーとかと付き合うから、そういうことを言われて
「1000万円くらいまで増資してもらえませんかね?」
「500万円ぐらいまで増資してもらえませんかね?」
とか言ってくるから「うるせえな」と思いながらとりあえず増資します。
ナレーターやまだひさし
笑
別に金はあるし、出せるけどみたいな。
工場長西村豪庸
「今このご時世にうるせえな…」と思いながら増資します。
ナレーターやまだひさし
まだやっぱり、そういう人たちは居たりするんですね。
『AIR RACE JAPAN』の資本金
ナレーターやまだひさし
本当ですか?
すごいな面白いな 笑
工場長西村豪庸
俺と河野さん(社長)とアキラさん(副社長)で、1円ずつですからね。
ナレーターやまだひさし
アハハハ! 僕も入ればよかった!
声かけてくれれば、持ってたのに 笑
工場長西村豪庸
出資の金額までは、責任を取ってもらいますよ?笑
ナレーターやまだひさし
そうでしたね。
資本金だけでいいんだと思ってた。
工場長西村豪庸
いや、だからそういうことです。
1円までは責任を取ってもらいますよ。
ナレーターやまだひさし
その1円は高そうだな 笑
でも資本金ということは、そういうことか。
工場長西村豪庸
別に「最初にいくら積んだか」ってだけだから。
やまださんは、1円を投資したところで1円以上は失わないですよ。
よくある素人の勘違い
ナレーターやまだひさし
最初は、資本金を積んで会社を作るじゃないですか。
それって使わずに、とっておく方がいいの?
工場長西村豪庸
いや、それを使わずにとっておいたら、一生経済活動できないじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
やっぱりそういうことなんですね。
あれはすぐに使い切ったとしても、資本金300万円ってずっと言ってても、別に詐欺ではない?
工場長西村豪庸
それは、一生そうです。
ナレーターやまだひさし
なんかそれって、分かりづらいですね。
資本金を使い切っちゃった場合は、その年の決算のタイミングで「会社の資本金が変わりました」とかって言わなきゃいけないんでしたっけ?
工場長西村豪庸
いやいや…
「資本金をいくらで会社を作った」って言ってるだけだから。
ナレーターやまだひさし
決算を見て、その人が判断すれば良いわけであって、資本金で判断することじゃないんですね。
資本金はあくまでも、最初に作ったときのある意味見せ金みたいなもんでしかないから 笑
工場長西村豪庸
いくらで作ったかっていう話だから。
ナレーターやまだひさし
素人は勘違いしてますね。
「今の会社に、どれだけの資金があるんだ」みたいに思っちゃってる節はあります。
工場長西村豪庸
全然関係ないですよ。
資本金の設定額の基準は?
工場長西村豪庸
すごいザックリ適当に言いますよ。
資本金1円で作って、毎年利益を1億円ずつ出して4000万円ずつ納税して、6000万円ずつ貯めて10年で6億円ある会社は、資本金1円って書いてあるけど純資産は6億円ですよね。
だからこの会社には、最低でも6億円の価値があって、6億円のキャッシュがあるはずです。
だけど資本金10億円で作って、毎年1億円の赤字を出して10年間やってる会社は、資本金10億円って書いてあるけどキャッシュは1円もなくて、純資産ゼロです。
ナレーターやまだひさし
その会社をもらったとしても、資本金なんか手に入るわけもなく…
工場長西村豪庸
はい、純資産はゼロです。
この場合、資本金1円の会社と資本金10億円の会社で、価値はとんでもなく違いますよね。
6億円の価値がある会社と、1円の価値もない会社。
ナレーターやまだひさし
本当だ。
でも資本金だけ見ちゃうとあたかも1円と10億円って思えちゃうけど、そこは全然重要ではないと。
そうなると、資本金の設定額っていうのは、何を基準に決めてるんですか?
工場長西村豪庸
僕はノリです。
だから3円 笑
ナレーターやまだひさし
すげえ。
ノリで資本金を決めてるんですか 笑
少ない資本金で会社を始めるメリット
ナレーターやまだひさし
どうせオフィスを借りたりパソコン買ったり、初期投資にお金がかかるし、資本金が多い方が信用が上がるから…
工場長西村豪庸
上がんねえけど 笑
ナレーターやまだひさし
一応ね。
中途半端に資本金500万円っていうよりは「キリもいいし、1000万円からスタートしよう!」ってのはどうですか?
工場長西村豪庸
バーカ!笑
ナレーターやまだひさし
一喝…笑
工場長西村豪庸
だって資本金が1000万円以上の会社って、消費税特例とかないから。
ナレーターやまだひさし
それもあるんですか?
ちょっと背伸びをして「資本金1億円、2億円です…」なんて言うものではないと。
ちゃんと考えて設定をしないと、大変なことになる 笑
工場長西村豪庸
だからうちが作るのは、1000万円未満の会社ばっかりなんですよ。
ナレーターやまだひさし
今のルールにのっとって、一番良い策を考えたうえで、別に資本金で見栄を張る必要はないと。
工場長西村豪庸
どうしてもやりたかったら、999万円にしなはれ。
その方がメリットは大きいですよ。
ナレーターやまだひさし
今で言うと、絶対にその方が活用しやすいんですか?
工場長西村豪庸
消費税2年弱免除は大きいですよ。(消費税特例)
ナレーターやまだひさし
もし、ちゃんと売上を出すような会社ができたとすれば、当然ながら納税はあるわけで、それを2年免除するって国が言ってんだから「享受しないわけはないだろ?」っていうのがヒデちゃんの合理的な考えですね。
そこを例えば、見栄張って「1000万円だ!2000万円だ!」なんて言う必要性ってどこにあるんスか?と。
工場長西村豪庸
ない。
ナレーターやまだひさし
もう即断だったな。
でも素人目からすると、やっぱり資本金っていうのを見ちゃうんですよね。
多い方がしっかりしてるなとか、カッコイイとか思ってました。
小学1年生の粉飾決算
ナレーターやまだひさし
「資本金は借金をしてでも、多めにしておいた方がいいんじゃないか?
設立した後で親に返せばいいかな…」
なんていうこともあるんですけど、これは違法行為ですか?別に偽証でもないですか?
工場長西村豪庸
それって仕分で言ったら、1回社長貸付になって、社長が親に返してるんですよね。
ナレーターやまだひさし
仕組みとしたら、それは簡単には返せないか。
あたかも自分の金だというかたちで会社に登記してるんだから。
工場長西村豪庸
仕分はそうなるんじゃないですか?
資本金が右で現金が左。
その現金が、今度は社長への貸付になって…
ナレーターやまだひさし
ああ、そういうかたちになるのか。
工場長西村豪庸
現金1000万円というのが、社長への貸付1000万円に変わる。
ナレーターやまだひさし
社長がそこで、親に勝手に弁済すればいいし、会社としては
「社長に資本金を貸し付けたかたちになってるから、いつかは返さなきゃいけない金だよ」
というような扱いだけど、社長一人の会社の場合は、それをどうするかっていうのは個人の判断による。
これは別に逮捕されることではない?
工場長西村豪庸
まあ、見せ金とは違いますからね。
1回ちゃんとお金を作って積んで、会社に入れて、それを今度は社長の口座に貸付として入れて…
実質、見せ金みたいなもんだけど、本当の見せ金というのは違法行為とか呼ばないんでね。
ナレーターやまだひさし
この貸付で通常通り動いていれば、別に親の金を借りて資本金を作っても、ダメじゃないと。
工場長西村豪庸
それは別にダメじゃない。
でもひどいのだと、現金が1000万円あることになってる会社とかあるんですよ。
現預金じゃなくて現金。
ナレーターやまだひさし
すごい、そんな会社もある?笑
工場長西村豪庸
「資本金1000万円です、現金1000万円あります…」
って、どこに?って感じじゃないですか。
小学1年生の粉飾決算みたいな決算書ですけど、たまにこういうしょうもない会社を見るんです。
ナレーターやまだひさし
でもヒデちゃんが見れば「ふむふむ。ようやってくれるわ」と 笑
工場長西村豪庸
「じゃあ現金を見せてごらん? 金庫にあるのかな?」みたいなね 笑
ナレーターやまだひさし
どこにもないみたいだけど、大丈夫かな?と 笑
工場長西村豪庸
在庫がないのに、あるって言ってるような粉飾決算とか、たまにありますよ。
ナレーターやまだひさし
じゃあさっき言ってた、1000万円を超えた場合は、上限は全部同じですか?
5000万円だろうが、1億円だろうが10億円でも。
工場長西村豪庸
違います。
1億円を超えると、また厳しくなったりしますね。
やれ接待交際費が使えないだの、全部損金不算入だの、軽減税率がなくなるだの。
ナレーターやまだひさし
うわっ、全然違うんですか…
やっぱり社長は、その都度そういう勉強をしなきゃいけないんですか?
工場長西村豪庸
そう。
ナレーターやまだひさし
「そう」って言っちゃった…
社長はほかに、やることあるんですよ? 大変ですよ?
工場長西村豪庸
じゃあ、1000万円未満にしときなはれ 笑
ナレーターやまだひさし
でも社長になった以上、もっとお金持ちになりたいんですよ。
どんどん事業も拡大したいんですよ。
工場長西村豪庸
だから金持ちになることと、資本金は関係ないんだから!笑
ナレーターやまだひさし
また一緒になっているよ 笑
資本金じゃないって言ってんのに…
昭和世代の見栄っ張り
ナレーターやまだひさし
昭和世代だと、まず見栄が1番に来ちゃうの…
だから今困っているのよ。
工場長西村豪庸
そういう人のためにも、うちの会社で資本金を1億円ちょうどにしてる会社がありますよ。
資本金と資本準備金で1億円。
ナレーターやまだひさし
えっジャスト?
工場長西村豪庸
1億円+9000万円とか。
「うるせえ人にはここを出せばいいから」みたいな、そのぐらいにしているところもある。
ナレーターやまだひさし
松竹梅(まつたけうめ)と用意してある。
工場長西村豪庸
3円の会社も、5億円を超えちゃって、公認会計士が入んなきゃいけないような会社もある。
ナレーターやまだひさし
3円から5億円まで 笑
すごいな。
工場長西村豪庸
それは、それぞれのビジネスモデルによって違うし、やり方があるから違う。
けど、資本金が3円の会社と1億円の会社で、キャッシュがあるのはどっちか分からんよと 笑
まあ、たまたまこの場合は、1億円の会社にキャッシュがあるけど 笑
ナレーターやまだひさし
面白いというより、ビックリだ。
やはり、僕らの考えてる資本金の発想と全然違うんですね。
工場長西村豪庸
違いますよ。
1億円を超えると、赤字でも納税しなきゃいけないとか、いろいろありますからね。
ナレーターやまだひさし
そうなると、キャッシュが無いのに納税はやってくるから大変だ。
工場長西村豪庸
印紙税も1000分の7とかで、1億円だったら70万円は絶対払わなきゃいけないから。
ナレーターやまだひさし
また僕の大嫌いな印紙の話だ 笑
あんな切手みたいなものに、あんな金額を…
工場長西村豪庸
資本金1000万円だったら7万円で済むのに、1億だったら70万円です。
ナレーターやまだひさし
そもそも70万円の印紙って見たことない。
何枚貼るんだ?って 笑
今日の話を集約すると、資本金はあんまり重要じゃないね?
工場長西村豪庸
重要じゃないですよ。
だから言ってるじゃないですか 笑
毎年 "増資" をしている会社は要注意?
ナレーターやまだひさし
資本金はどうでもいいのに、増資はなんのためにしてるんですかね?
工場長西村豪庸
増資はちょっと難しい問題で、いくつかのパターンがあるんですよ。
「毎年この会社は増資してんな」って会社は、よっぽどのことがない限り赤字っす。
ナレーターやまだひさし
え!?
だって金があるから増資してんじゃないですか?
工場長西村豪庸
金がないから増資してるんですね。
ナレーターやまだひさし
また難しーい!
工場長西村豪庸
これね資本と資本金は違うんで、資本をちゃんと理解しないと難しいんです。
すごい単純に言うと、決算書上の左側には貸借対照表というものがあって、その左側と右側がバランスしているわけですね。
左側は資産の部、右側は負債と純資産の部。
両方がバランスしてるからバランスシートと、対照だから貸借対照表と呼ぶわけです。
ナレーターやまだひさし
ああ、僕もなんか見たことある。
工場長西村豪庸
純資産とか資産、資本って言ってるのは、左側の資産を全部売却して右側の負債を全部返したときに残るのが、純資産なわけですよ。
資本金1000万円で会社を作って、経済活動を何もしてない会社って単純で、資本金が1000万円で純資産が1000万円、負債はゼロ、現金が1000万円。
返さなきゃいけない借金はないから、当然1000万円残る。
ナレーターやまだひさし
うん、これはキレイなバランスだな。
工場長西村豪庸
1000万円と1000万円だから、ゼロ。
これが「今年は1000万円の赤字が出ちゃいました」ってなると、1000万円の現金がなくなりました。
負債もないから、ゼロでバランスしてるんです。
ナレーターやまだひさし
この会社はもうゼロになっちゃってるね。
工場長西村豪庸
資本金は1000万円って書いてあるけど、純資産はゼロです。
今度、1000万円を借りてきましたってすると -1000万円になるわけですよね。
ナレーターやまだひさし
借りてるんだからこっちはね。
工場長西村豪庸
1000万円借りてきたので、今度は現金が1000万円。
この時点では、まだ純資産は変わらないわけです。
これでさらに1000万円の赤字が出る -1000万円ってなっちゃうわけですね。
要するに「資産を全部売り払っても、借金を返せないよ」というのが、債務超過なわけです。
債務超過になると銀行からの評価が一気に低くなるし、ものすごく悪い評価なので、赤字の分の1000万円を増資することで、債務超過を逃れてる会社があるんです。
ナレーターやまだひさし
もうちょっと待ったらなんとかなるから、今は悪い印象を持たせたくないし潰したくもないので、債務超過を逃れるために増資して、見た目のバランスを保ってる。
工場長西村豪庸
1000万円増資して「純資産はマイナスになってません!」って言うために、毎年赤字額よりちょっと上ぐらいを、増資してる会社をたまに見るんです。
ナレーターやまだひさし
そういうことか。
工場長西村豪庸
別の言い方をすると、毎年資本金が増えてる会社なんですよ。
ナレーターやまだひさし
それは、どっかから調達してるんですね。
工場長西村豪庸
調達してたり社長が貸しているなり。
まあ会社から見たら、調達先が社長なのか借入なのかとかは、一緒ですから。
だから、毎年毎年赤字を垂れ流してるけど、毎年毎年増資することで、なんとか純資産はプラスの状態を保ってるって会社は結構あるんですよね。
ナレーターやまだひさし
なので、最初に言ったように毎年増資をしてる会社は若干怪しいよと 笑
工場長西村豪庸
毎年増資している会社は、割と赤字っす。
ナレーターやまだひさし
金が余ってっから、どんどん増資してると思ってたら、そんなわけないんだ。
工場長西村豪庸
余ってれば持っときゃいいですから 笑
ナレーターやまだひさし
確かにね。
資本金をわざわざ増やす理由なんて特にないもん。
さっき言ったように、特に理由もないものを「なぜ増やしていくか?」っていったら 笑
工場長西村豪庸
そういう理由が多いですねっていう。
もちろんたまに「ちゃんと利益が出てて、自社株買いをしたい」みたいな理由もありますよ。
ナレーターやまだひさし
だいたいそれも、見ればわかるわけですね。
毎回税理士さんが決算書を作ってくれるけど、いろんなことが分かるのね。
工場長西村豪庸
そうなんすよ。
企業が上場するときに、資本金の最低金額は決まっているのか
ナレーターやまだひさし
上場するのに、資本金の最低金額はいくらとかありますか?
工場長西村豪庸
上場で資本金に関する最低はないはずです。
時価総額とか純資産とか「資本は10億以上ないとダメだよ」とかはあったはずですけど「資本金がいくらだ」とかはない。
だから極論、資本金は1円でも純資産が10億円あれば別にいいはずですよ。
ナレーターやまだひさし
1円もあり得るんだね。
工場長西村豪庸
1円はちょっと、いろんな意味であり得ないでしょうけど…
ナレーターやまだひさし
やろうと思えば、ルール上できなくはないということですね。
西村さんが、新たに新会社を設立しようってなったときに、資本金はいくらぐらいに設定されますか?
工場長西村豪庸
社長とかその会社によりますよね。
ナレーターやまだひさし
やはりこれも、その都度相談してから決めると?
工場長西村豪庸
うちの子でエースって呼ばれてるやつがいるから、そいつの会社の資本金は1万円にしたりとか。
ナレーターやまだひさし
分かりやすい!笑
エースだから1万円でいんじゃね?と。
いやそれは別に、エースだから1億円でもよかったんじゃね?っていう…
工場長西村豪庸
1億円だと、さっき言ったデメリットがあるから。
ナレーターやまだひさし
そうね。
でも1円じゃちょっとかわいそうだから、間をとってるのかなんなのか 笑
ナレーターやまだひさし
お、かっこいい。
工場長西村豪庸
ついでに、そいつへのボーナスも兼ねてるところがあったから。
250万円分ぐらいのボーナスみたいな俺の気持ちもあって、2万5700円じゃあちょっとボーナスにならねえな、みたいな。
それで257万円とか、その程度ですよ。
ナレーターやまだひさし
別に今となっては、そんなに重要なことではないってことですね。
工場長西村豪庸
全然、どうでもいいですね。
ナレーターやまだひさし
だからハードルは下がりましたよ。
会社名をどうかするかだとか、資本金が集まらないから会社なんかまだまだ早い…なんていうのは、もう今は、時代が違うから。
そのことで悩んでるんだったら、やめときなはれと。
やまだマイクは300万円で作りましたから、あれは…
工場長西村豪庸
えっ、純資産の額を言っていいんですか?笑
ナレーターやまだひさし
たぶん僕、増資してないと思うんですけども…
工場長西村豪庸
いや、だから増資じゃない。
黒字を繰り返してきたか赤字を繰り返してきたかとか、これで分かるから。
ナレーターやまだひさし
たぶん黒字だと思うんですよね。
工場長西村豪庸
だから純資産は300万円より上ですよ。
ナレーターやまだひさし
上?やったー、頑張ってるじゃん。
じゃあ僕が増資をし始めたら、怪しいと思ってもらって 笑
工場長西村豪庸
そうですね 笑
ナレーターやまだひさし
怖いわー 笑
気をつけようって言ったって、気をつけようがないけども 笑
この資本金というのも、元々なんなのかも間違えてましたね。
工場長西村豪庸
そうですね。
では参考にするために、やまだマイクの決算書をご覧ください、どうぞ!笑
ナレーターやまだひさし
急にビックリするわ!
PDFで出さないで!笑
意外にラジオ局のギャラとか、そのまんま書いてあるからね 笑
工場長西村豪庸
それではご覧ください、どうぞ!笑
ナレーターやまだひさし
やめて! やめて!笑
工場長西村豪庸
笑
工場長西村豪庸
ありがとうございました。