受給予測が正確にできるか
読むポッドキャスト 第40回「西村豪庸の『社長工場』」
- 経営者は、イベントのタイミングに合わせて上手く乗らないといけないのか?
- 経営者は、特需景気に目を光らせた方がいいのか?
- チャンスロスや不良在庫のリスクを減らすためには
- 西村工場長が思う、マトリックス図とは
- なぜ、特需景気で売上が上がるのか
- フィーバーに乗るのはいいこと?
- 受給予測には何が重要なのか
ナレーターやまだひさし
「西村豪庸(にしむらひでのぶ)の『社長工場』」!!
こんにちは、やまだひさしです!
ポッドキャスト番組、西村豪庸の社長工場では、インスタイルグループの代表を務める経営コンサルタントの西村豪庸さんが、ビジネス、経営に関することを独自の視点で解説していきます。
西村さん本日もよろしくお願いします。
今回のテーマは
「特需景気で売上アップ」
こちらについて話していこうと思っております。
ヒデちゃん、新元号で「令和」になり、令和フィーバーが起きています。
まさに祝賀ムードで、まんじゅう屋さんでは新元号の発表後すぐ、令和がプリントされたまんじゅうを売り出したんですね。
そしたらなんと、売上が10倍になったそうです。
まぁ、もともと何個売れてたんだって話なんですけど…
工場長西村豪庸
2個だったのが20個!みたいなね 笑
ナレーターやまだひさし
そんなことはさすがに無いと思う 笑
200万円くらいかけてレーザープリンターを投入して、今やそれ以上の売上が上がってる、ということもあるわけですよ。
まさに"特需"ですね、令和特需。
経営者は、イベントのタイミングに合わせて上手く乗らないといけないのか?
ナレーターやまだひさし
例えば、正月、クリスマス、バレンタインなどのイベントがあると一時的に景気が良くなったりして、結果的に財布の紐も緩むだろうし。
経営者は、このタイミングに合わせて上手く乗っからないといけないのか?っていう話をしたいと思います。
工場長西村豪庸
なるほど。
ナレーターやまだひさし
例えば、予見できてたら、売上も上がったり会社のイメージもアップして得なのかな?
工場長西村豪庸
難しいっすよね。
それをどこまで予見できるかっていうね。
有名な話だと、『たまごっち』の会社って潰れたじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
あら!あんなにすごかったのに…
工場長西村豪庸
潰れたんですよ。
あのフィーバーで、すごい流行って、たまごっちブームをつくったわけですよね。
ナレーターやまだひさし
みんな、たまごっち持ってました!
工場長西村豪庸
みんなが
「欲しいほしい」
ってなってるときに
「よっしゃ、こりゃきたぞ!」
って思って、大きな工場を建てて生産しようとした頃には、ブームが終わってて、会社を潰したはずなんですよ。
ナレーターやまだひさし
そうか、予見がもっと出来ていれば!
工場長西村豪庸
うーん、だから難しいですよね。
ナレーターやまだひさし
それの確証が得られるわけでもないし。
この令和だって、蓋を開けてみたら
「こんなにブームになるなんて」と。
そこかしこで、カウントダウンしてましたからね。
「もう一回?」って言うくらい 笑
ハッピーニューイヤーがきた!みたいな感じになっちゃったから。
工場長西村豪庸
まぁ、そうですよね。
前回の改元のときは、ご崩御(ほうぎょ)されて用意もできなかったし。
ナレーターやまだひさし
なんとなく、喪に服せという流れの中で、自然に変わったのとは全然違うから。
今回はご退位されてのだから
「喜んでいいんだ」
みたいな、感じになりましたもんね。
実際これは、読めなかったってことですかね?
工場長西村豪庸
まぁ半分くらいは、読めてたと思うんですよ。
そもそも30年に一回とかの話で、前回で言うと幸運なことに60何年続いたわけで、60年に一回とか70年に一回とか、数十年に一回なわけじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
来るであろうという。
工場長西村豪庸
でも、レアなイベントですよね。
ただ前回の場合は結局、喪に服さなきゃいけない空気だったから。
ナレーターやまだひさし
やれなかったという。
経営者は、特需景気に目を光らせた方がいいのか?
ナレーターやまだひさし
例えば、東京オリンピックも決まってますね。
あと他にもどんどんその想像がつきそうな、いろんなものってあるわけですけど、経営者はやっぱりそういったものにも目を光らせた方がいいのか?
工場長西村豪庸
目を光らせた方がいいとは思うんですけど、本当に当てるのは相当難しいと思うんですよ。
要するに、"受給予測が正確にできるか"っていう話なんですよ。
だから、200万円のレーザープリンターを入れたとしても、令和だけじゃなくて他にも使えるからいいっすけど。
令和の版を作るのに、200万円かかるとしたらリスク取りすぎだと思うんですよ。
ナレーターやまだひさし
そりゃそうですよね。
だって、このブームは5年、10年って続くわけじゃないから。
工場長西村豪庸
多分このレーザープリンターで、オリンピックの五輪も印刷すると思う 笑
ナレーターやまだひさし
五輪まんじゅうね 笑
間違いなく作りそうですけど、そこら辺はちゃんと気をつけてくださいね。
勝手に作ると、あそこに怒られますから 笑
工場長西村豪庸
あのマーク、結構うるさいですからね 笑
ナレーターやまだひさし
他のものにも使うというか、そういったことの投資ならいいけどってことですね。
チャンスロスや不良在庫のリスクを減らすためには
工場長西村豪庸
アパレルの世界とかでよく言われてる、楽天の売上トップ10に入ってる企業で、10年後に残ってる企業がないみたいな法則があって。
売れてるからそれなりに、在庫を積まなきゃいけない。
そうすると、各5枚じゃ済まなくなってくるから、奥行きをつけなきゃいけなくなるじゃないですか。
アパレルってある意味、半期に一度の商売だから。
メーカーさんや商社さんを入れるみたいな、いろんなやり方はあるんだけど、一回横に置いといて。
大多数は、「春夏」と「秋冬」っていうタームでやっていて、例えば
「来季はこのくらい積もう」
って在庫を決めて
「今は月に1億円売れてるから、これくらい積もう」
っていって、積んでなければチャンスロス(機会損失)になるし、積んで売れなければ不良在庫になるわけですよね。
だから、正確に会計を理解しながら、しかも受給予測をきちんと当てながら、さらには次のシーズンの流行り廃りも考えながらクリエイトするって、まぁ大変なんですよ。
ナレーターやまだひさし
相当なスキルですね。
工場長西村豪庸
逆に、楽天の売上トップ10に入ってるような会社で、アパレルとかアパレル以外でもそうですけど
仕入れ先行でちゃんと在庫を積まないと、売上を立てられない業種業態は5年後、10年後に残ってないって言われるのが
受給予測がしっかり立てられないとか、会計がちゃんとできないとか、それがリスクになるっていうのがあるんすよ。
だから
「これやった方がいいかな? やんない方がいいかな?」
で言ったら
「読めるならね」
っていう。
でもそれは
「株買った方がいいかな?」
「当てられるんだったらね。」
「ギャンブルした方がいいかな?」
「勝てるんならね」
っていう話と一緒なんですよ。
ナレーターやまだひさし
正直言うと、本当にそこは予測不能というか。
工場長西村豪庸
結構厳しいと思うんすよ。
西村工場長が思う、マトリックス図とは
工場長西村豪庸
みたいな、マトリックスをイメージしてると思うんですけど、俺は違うと思っていて。
その理由が、チャンスロスになると思ってやってるかもしんないけど、リスクでもあるじゃないですか。
結局テレビで言われてるのって、当てた人ばっかりフォーカスされてるんで。
ナレーターやまだひさし
しかもその人が、本当に用意をして当てたのかどうかが、分からないものが多いじゃないですか。
工場長西村豪庸
いわゆる"成功のバイアス"っていうのがかかってるから、成功した人しか本を書かないじゃないけど、それしか取り上げられてないはずだから
「令和の準備をしたのに、売上が30分の1になっちゃいました」
「在庫過多でもう俺、首を括るしかありません」
って、今の令和フィーバーのときに言うわけないじゃないですか!笑
ナレーターやまだひさし
言わないね、取材してくれないもん。
でも、そういう人たちもいるはずですよね。
ナレーターやまだひさし
確かに。
「用意しているのにもかかわらず、全く乗れなかった」
これは相当なリスクになっちゃいますもんね。
そうなると、この用意をするっていうのは、非常にリスクですよね。
工場長西村豪庸
そうですよね。
その用意に、どこまでの費用がかかるのかにもよりますけど。
ナレーターやまだひさし
「上手くバランスを取らないと、この用意分を回収できなくなることがありえるんですぜ、そこ分かってますか?」
ってことですね。
工場長西村豪庸
さっきのレーザープリンターみたいに、どうせ買うとかどうせ他にも使えるとか…
ナレーターやまだひさし
どっちみち必要だし。
工場長西村豪庸
純金製の令和ハンコとか作って
「それ、他に使えないぜ」
みたいな 笑
ナレーターやまだひさし
でも、テレビでは取り上げられていなくても、「用意したけど乗れてない人」って、やっぱりいますよね?
工場長西村豪庸
絶対いると思うんですよ、過剰在庫って人ね。
なぜ、特需景気で売上が上がるのか
工場長西村豪庸
一方、特需景気じゃないですけど、こういうイベント事で、なんで売上が上がるかって言ったら
「心が開くと財布が開く」
って、昔からよく友達と言ってたんですけど、結局雰囲気じゃないですか。
前に、景気不景気の話をポッドキャストで話しましたけど、やっぱり雰囲気だから。
みんなが、「この先やばいな」って思ってお金を握りしめて、タンス預金とか銀行預金のお金がぐるぐる回らない状態を作ると、そりゃ景気が悪いし。
逆にぐるぐる回して、「明日も明後日もいい感じでしょ」って思えれば、景気は良くなるわけだから。
ナレーターやまだひさし
あのバブルのときなんて、まさにそうですよね。
工場長西村豪庸
そうそう、ぐるぐる回ってるわけだから。
オリンピックでも令和でも、人の気持ちが上がりそうなことっていうのは、基本的には財布の紐が緩みやすいよね。
だけど、財布の紐が10%緩みやすいからって、300%の費用かけたらそりゃ損しますよねっていうだけで。
ナレーターやまだひさし
確かに分かりやすい。
じゃあんまり、こういう"フィーバー的なものに乗っかる"っていう発想は、しない方が堅実なのかな?
工場長西村豪庸
例えば母の日でも父の日でも、バレンタインでもクリスマスでも正月でも、今回のゴールデンウィークの10連休でも、マーケティング的に言ったら人の気持ちの問題だから。
何が嬉しいか、何が喜ばしいか、何が悲しいかっていう話で、普通のまんじゅうよりも「令和」って書いてあった方が
「何かいいべや」
と思って買うわけじゃないですか。
その"雰囲気"をどう作るか、だと思うんですよね。
その雰囲気になったときに、どこまで喜べるかっていう話だと思うんで、それを計算できるんだったら全然いいと思うんですよ。
ナレーターやまだひさし
でも特需ってみんなが騒げば騒ぐほど
「今からでも遅くないんじゃないかな?」
って思ったりした人もいる…
工場長西村豪庸
乗った方がいいんじゃないかな?みたいな
だから、もう一回言いますけど、令和っていう他に使えもしない…
ナレーターやまだひさし
例えば、Tシャツ作ってみたりとか?
工場長西村豪庸
そう。
Tシャツも5枚とか10枚で済ましときゃいいのに、千枚とかね。
ナレーターやまだひさし
しかも、何色もあったりとか 笑
工場長西村豪庸
多色展開 笑
そりゃ俺、知らんすわ。
フィーバーに乗るのはいいこと?
ナレーターやまだひさし
じゃあ、
「うちもフィーバーに乗っかって、何かやりたいんですけどね」
っていうコンサルがきた場合は、やっぱり
「やめときなはれ」
って言いますか?
工場長西村豪庸
「一発逆転を狙ってだったら、やめときなはれ」って言いますね。
もし、余裕がある企業だったら「やったら?」って言います。
ナレーターやまだひさし
そうかそうか。
それはこの図じゃないけど…
工場長西村豪庸
外してもいける範囲で、やれる会社だったらいいけど、そういうことを言う企業って、往々にして結構、一発逆転を狙って言ってくるんですよね。
「この令和でちょっと…」
ナレーターやまだひさし
「ちょっと、俺金持ちなりたいんすわ」
みたいな、宝くじ一発狙いでいくならやめなさいと。
受給予測には何が重要なのか
工場長西村豪庸
結局、会社内で
「今年は創業100周年だから、何か考えましょう!」
「100周年だから、お客さんも普段より来ると思うし!」
みたいな。
でも、その会社が創業100周年かって、やまださん知ってます?
ナレーターやまだひさし
いや、全然興味ないもんね。
工場長西村豪庸
知らないじゃないですか?
ナレーターやまだひさし
確かに、そうだわ。
社員や社内では、そういう盛り上がりがあるかもしれないけど。
工場長西村豪庸
取引先もそういうこと言ってくるじゃないですか?
「御社、〜〜100周年ですね!」
「50周年ですね!」
みたいな。
関係ないですよ、顧客は知らないじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
ほぼ知らないっすね。
工場長西村豪庸
100周年キャンペーンとか盛大にやって、100%OFFとかやったら、そりゃタダだから知るけど 笑
ナレーターやまだひさし
なるほど、確かにそうだわ。
それだから買いに行こうって、あんまりないですもんね。
工場長西村豪庸
「そういえば、あそこは来年100周年」
って覚えてるか?っていう話じゃないですか。
ナレーターやまだひさし
ないないない。
そりゃね、バンドの結成何周年とかは分かるよ。
工場長西村豪庸
あれはもう、銘打ってプロモーションするじゃないですか。
ナレーターやまだひさし
ずっと応援してきた人たちにしてみれば、気持ちも一緒だから
「20年だ!」
ってなるけど、お店はそうじゃないってことだよね。
工場長西村豪庸
「今年は創業150周年なんで、なんか集客増えると思うんです」
「増えねぇんだ」
って話じゃないですか。
お客さんの心の中で、何が起こってるかがやっぱり重要じゃないですか。
最初に言った受給バランス、正確に受給予測をちゃんとできるのかっていう。
だから令和で、このくらいの雰囲気、ノリ、お祭り騒ぎになるだろうから、このくらいは在庫を積んで、このくらいは投資しよう。
ナレーターやまだひさし
それくらいだったら分かるね。
現に、神社も人が増えたらしいですよ。
「もう一回初詣に行く」みたいな雰囲気になったらしくて。
工場長西村豪庸
やっぱね、まぁそうですよね。
ナレーターやまだひさし
そこの周りのお蕎麦屋さんとかで、年越しそばみたいな形で売れたらしいですよ。
工場長西村豪庸
僕も
「カウントダウンしませんか?」
みたいなお誘いが結構ありましたから。
「カウント…ダウン…?」
って思って 笑
ナレーターやまだひさし
やっぱりあったんですね 笑
工場長西村豪庸
あと、どこのクライアントとは言わないですけど
「西村さん、平成最後のミーティングをお願いします!」
って、もう何社言われたことか 笑
こいつら絶対、令和最初のミーティングお願いしますって、言ってくるんだろうなーって思いながら
「はいはい、最後のやりましょうね」っつって 笑
言いたいんでしょうね。
ナレーターやまだひさし
そこはあるね。
これは皆さん気をつけてもらいたい。
特需って言ってるものの、本当にあくまでテレビとかメディアで踊らされてる場合は、ほとんどがそういうニュースしか流してないってこと。
工場長西村豪庸
やれる範囲でやりなはれよ。
知らんぞ。
ナレーターやまだひさし
成功例ばっかり見て
工場長西村豪庸
令和Tシャツとか、千枚も作るな。
俺は買わねぇぞ 笑
ナレーターやまだひさし
それで立ち行かなくなってから、コンサル頼まれてもやんねぇぞ、と 笑
工場長西村豪庸
やんねぇぞ 笑
工場長西村豪庸
ありがとうございました。